昨日のエントリに引き続き、今日も環境とエネルギーの話題です。昨日ワシントンで、ノーベル平和賞を受賞した強力な環境保護推進者Al Gore(アル・ゴア)元副大統領が、「Challenge to Repower America」で、現在のアメリカのエネルギー問題に対する呼びかけを行なっています。
ゴアは、スピーチの中で、以下のようにアメリカに端的に描写しています。
「We're borrowing money from China to buy oil from the Persian Gulf to burn it in ways that destroy the planet," "Every bit of that's got to change(我々は中国から借金をして、ペルシア湾の石油を買い、それを燃やして、地球の環境を破壊している。これらすべてを変えなければならない)」
ゴアは、「米国は10年以内に、すべての電力業界は、風力、ソーラー(太陽光)、ジオサーマル(地熱)というカーボンフリーの電力エネルギーに転換して、それをこれからの新しい電動自動車の燃料として使うコトを目指すべきだ」と主張しています。彼は、1961年ケネディ大統領が「月に人間を送る」というミッションを掲げたように、自分のプランはすべての米国民(政治家、企業、技術者、発明家、アントレプレナー、一般消費者)が、これに向かって行動を起せば実現可能となると、力説しています。彼のポイントは、現在、米国が立ち向かわなければならない危機は、以下の3つで、これはすべて重なり合っているという点です。
- エネルギー価格の高騰による経済危機
- 地球温暖化の危機
- 安全保障の危機(石油を供給する中東の政情不安定さによって起きている)
ただし、米国のエネルギー源は、U.S. Energy Information Administrationによれば、以下の割合で、いまだに石炭に電力供給の半分を依存しています。エネルギーの専門家(Edison Electric Institute)にいわせれば、ゴアのプランは非現実的で、10年以内にRenewableなエネルギー源だけで、米国のエネルギー消費のデマンドをまかなうことは不可能で、バランスの取れたエネルギーのポートフォリオのためには、すべてのリソースを考慮して、原子力発電の増加を考える必要があると指摘しています。
- 石炭:49%
- 天然ガス:22%
- 原子力:19%
- 水力:6%
- Renewable(持続的利用可能なエネルギー):2.5%
ゴアがこうした発言をした背景には、昨日ブログしたように、ブッシュ政権がモラトリアムを取り下げて米国の海岸線の新たな油田採掘を展開して、石油の輸入依存を減らすという、政治的ギミック・アクションへの強い反発があることは必至です。
埋蔵量に限りのある「化石燃料」は、いくら「持てる国のアメリカ」であっても、どこかの時点でで掘りつくしてしまいます。また、当然その価格は需要と供給のバランスで、投機的な値動きがあります。ということは、消費者は、「化石燃料」に依存するという状態は、自国であろうと外国(中近東)であろうと結果は同じで、今後も、何度もこうしたエネルギーの価格高騰による物価上昇に翻弄されるということになります。
誰でも出来る行動は:
- エネルギー需要のもとである自分自身のライフスタイルのチェンジ(ゴアはそれを強く求めています)。
- 環境保護のアクションを実施している企業の製品を選ぶ(エコフレンドリーな企業のロイヤルファンとなる)
- 対処療法や政治的なギミックでエネルギー戦略策定をするような政治家を、選ばない
カリフォルニア州は、2009年7月1日から、新築の建物(商業用、個人住宅、学校、病院などすべての建物)に関して、エネルギー使用は15%、建物内の水使用は20%、屋外のランドスケープのための水使用は50%の削減基準「California Building Standards Commission」をスタートさせます。これは全米でも、州レベルで初めて実施する本格的な「Green Building Standard(エコフレンドリーな建物基準)」で、環境保護に熱心なカリフォルニア州ならではものです。このコミッションはスタートはボランティアリーなものなので、これを2010年の終わりか2011年の初めまで、強制される基準となるように働きかけるということです。
米国に住んで、すでに13年経ちますが、どうやらやっと米国民もかなりの真剣さで、エネルギー問題を見つめ始めています。マーケッターとして、こうした消費者行動や意識の変化を見た場合、これは単なるトレンドではなく、一つの「Tipping Point(社会学的に、以前は稀な現象であったイベントが、臨界点を越えて、急激に一般的なイベントとなること)」を迎え始めている、そんな気がします。

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