昨日のエントリで、AIGは750億ドルの緊急資金が必要と書きましたが、結果、Federal Reserveは、AIGに2年間で850億ドルのローンを貸し出す緊急措置を発表しました。政府は、すでに投資銀行のBear Stearns、住宅ローン会社のFannie MaeとFreddie Macの救済のために、資金を貸し出していますが、リスキーなビジネスに手を染めた世界最大の保険会社への850億ドルも、結局私を含めた納税者がこれから支払うことになるので、背筋はぞっとしています。
投資銀行のLehman Brothersと異なり、AIGは、世界最大の保険会社なので、倒産の憂き目にあうと、グローバルレベルで、「チェーンリアクション(連鎖反応)」が起きて、とんでもない経済危機を起こす可能性があるため、政府はAIGに手をさし伸ばすことを決意しました。
この銀行の倒産や買収は、まだまだ出てきそうです。昨日エントリしたように、次のターゲットとして浮上しているWashington Mutualの危険性は高まっています。こうした財政危機を招いた本当の原因は誰もが「Overleveraged(梃子を使いすぎた)」となってしまったことだと、SF Chronicleの社説は分析しています。私もこれには納得します。
- 住宅のオーナー:「頭金なし」で住宅を購入した多くの人たちは、自分が返済能力がないことがわかっていながらも、ローンが借りられるからという単純な理由で、収入に見合わない住宅を購入した。最初は低利息でも、すぐにとんでもない高額な利息となり、結果ローン返済ができずに、金融機関の差し押さえとなった。
- 金融機関:住宅ブームとバブルに乗っかって、業界平均の14.5倍という資本の拡張をはかった。結果、昨日のリーマンブラザーズが6130億ドルの負債を抱えて倒産するということに、象徴されるようなウォールストリートの崩壊を招いた。
- 政府:今年に入って、Bear Stearns、Fannie Mae&Freddie Macの救済のために、連続して巨額な資金貸し出しを行なっている。リーマンの救済は避けたが、財務危機を放置した結果、昨日AIGに850億ドルのローンの貸し出しを約束してしまうほど、事態の深刻化を招いた。もし、こうした一連の緊急措置が失敗に終わると、米国政府は1990年代の南米やアジアの経済危機に陥る可能性もある
米国では、よく「Leverage(梃子)」という表現が、会話でも文章でも出てきます。「自らが獲得した機会を活用して飛躍すること」が、米国社会の一つの価値観として評価されています。今回の財務危機は、もう何年も前から言われていることです。米国民が好む「梃子」を使いすぎたことによっておきた「Overleveraged」は、結果として、最悪の事態を引き起こしています。
「蝋で固めた翼で、空を飛んだイカロスは、調子に乗って太陽に近づきすぎて、蝋が溶けて、墜落死してしまいました」
ここまで米国の状態が悪化しているとは思いませんが、「すでに十分太陽に近くなって、蝋が溶け始めている」のは事実です。

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