過去1ヶ月間、マケイン陣営のネガティブ攻撃に痛めつけられたオバマは、昨晩のスピーチで、「Gloves(手袋)」をマケインに投げつけました。ご存知のように、ジェントルマンが、相手に自分がはめている手袋を投げつけることは、決闘を挑むことを意味します。昨晩のオバマのスピーチはまさにそれで、直接マケインに強烈な言葉で挑戦しました。
「If John McCain wants to have a debate about who has the temperament, and judgment, to serve as the next Commander-in-Chief, that's a debate I'm ready to have.(大統領として気性と判断に関してディベイトしたいなら、いつでも相手をする)」
デンバーのMile HighにあるフットボウルスタジアムInvesco Fieldには、8万4000人の大観衆がつめかけ、民主党の最終日のハイライトであるオバマの「スーパーボウルスピーチ」が始まりました。多くの重圧に取り囲まれながらも、オバマは、支持者たちの巨大な期待に応えて、見事に45分間の「タッチダウン」のスピーチを決めました。
オバマと家族を紹介するヴィデオが流された後、登場したオバマは、スタジアムの支持者の喝采で、32回「Thank you」を繰り返し、2分40秒間の喝采が静まった後、正式に民主党の大統領候補指名を受理することを宣言しました。スピーチのポイントは、以下の7つ領域における政策ポイントと共和党のマケインへの宣戦布告でした。
- エネルギー
- 税金
- 教育
- 健康保険
- 経済(財務)保障
- 軍事
- 外交問題
オバマが訴え続けてきた「Hope & Change」が、漠然として意味不明であるという批判に応えるかのように、具体的な政策や数字を示しましたが、本当にこれが達成出来るのか?と思える高いスタンダードの提示で、私は思わず、彼はかなり自分を追い込んでいると感じました。オバマの予備選挙での発言や行動を見ていても、追い込まれて逆境になると力を発揮する傾向があり、彼はあえて高いハードルを自分に設置したようです。また、それに付随してブッシュ政権の継続を意味するマケインに対して、その政策の間違いを徹底的に訴えて、マケインのオバマ叩きのポイントであった、「経験・判断不足、非愛国的、テロ対策や軍事に弱い」というポイントを、以下のような言葉で、反撃しています。
「John McCain likes to say that he'll follow bin Laden to the Gates of Hell - but he won't even go to the cave where he lives(マケインは、地獄の門までオサマ・ビン・ラデンを追いかけると言うのが好きなようだが、彼は、ビン・ラデンが住む洞窟に行くつもりもない:テロ対策としてイラク戦争を位置づけるマケインは、ビン・ラデンが実際に潜むと言われるアフガニスタンの問題を大きく認めようとしていない。オバマは当初からイラク戦争に反対して、アフガニスタンの危険性を唱えているので、大統領としての判断に関するマケイン攻撃の言葉)」
「We are the party of Roosevelt. We are the party of Kennedy. So don't tell me that Democrats won't defend this country. Don't tell me that Democrats won't keep us safe(戦時下の大統領だったルーズベルトやケネディの名前を出して、民主党が防衛に弱いと言う指摘に反撃)」
So I've got news for you, John McCain. We all put our country first(マケインのキャッチフレーズである「Country First(国への貢献が先)」を用いて、前線では政党支持に関係なく多くの兵士が戦っており、自分も含めてすべてのアメリカ人は、国を深く愛している。すべてのアメリカ人はお互いに協調して、国に貢献すべきだと主張)」
オバマは、、故Martin Luther King, Jr.(MLK:キング牧師)の有名なスピーチ「I Have a Dream」に言及しながら、8年間のブッシュ政権は、もう十分だ、アメリカはもう後戻りは出来ないとして「ページをめくること」を訴えました。ちょうど、MLKのDream Speechの45回目の記念日にあたる日を選んで、オバマの大統領候補指名受理のスピーチが行われましたが、あえてMLKの名前を触れずに締めくくり、大歓声の中で、スーパーボウルスピーチが終了しました。
さすがに、このスピーチに対しては、マケイン陣営からも祝福のメッセージが届き、共和党支持のアナリストも含めて、ほとんどのやメディアは賛辞を送っています(ただし、Foxは非難しています)。しかし、この長く複雑でニュアンスのあるスピーチを、本当に情熱的に雄弁に語るオバマの能力には脱帽します。2日目のヒラリー・クリントン、3日目のビル・クリントンのスピーチも凄いと思いましたが、オバマはまた別格です。オバマを批判する勢力は、あたかもメシア的なオーラのあるオバマのスピーチに関して、また噛み付いてくると思いますが、これは彼の特質なので、変えられないし、変える必要もないと思います。
最後に、妻のミシェルと2人の娘10歳のMalia(マリア)と7歳のSasha(サーシャ)が舞台に現れ、その後にバイデン夫妻、さらにオバマの妹を含むオバマファミリーが舞台に上がりましたが、21世紀のアメリカがそこにあると感じました。オバマファミリーは、アフリカ系、アジア系、ラテン系とさまざまな人種や民族で成り立つマルチカルチャーなファミリーです。そこにバイデンの典型的な白人ファミリーが重なり、もう人種をなんだかんだと言うのが馬鹿らしい、そんなムードで、この「世紀の政治ショウ」は、終了しました。
この大会を終えて、民主党がどうやら「オバマ一家」となったようです。家長となったオバマは、本当の意味での闘いを、これからマケインと始めるつもりです。厳しい闘いは、続きます。

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