「エコノミー911」とも言われている今回の米国のファイナンシャル危機で、どうやら米国民は目が覚めたようです。この経済危機を梃子にして、Obama(オバマ陣営)の「マケインとロビイストやブッシュ政権を結びつける攻撃」は激しく展開しており、それは「Palin(ペイリン)効果」の下降とあいまって、徐々にオバマの支持を上げています。以下のグラフは、Research 2000 for Daily Kos(リベラル政治ブログ)による、4人に対する好感度と非好感度をあわせてネット平均を出したものです。
ペイリンとMcCain(マケイン)の好感度の下降が目立ちます。ペイリンは義理の妹の離婚した夫を州の警官の職から解雇するために政治的圧力をかけた疑いで調査されている「Troopergate」事件への証言や協力を拒否しています。さらに、昨日は、自身のYahooのEメールアカウントがハッキングされて、彼女が個人のフリーのEメールアカウントで、アラスカ州知事としての業務が行なっていたことが、インターネット上で公開されてしまいました。またメディアとのインタビューでも、彼女の経済政策のナレッジ不足は露呈されています。こうしたペイリン関連の報道は、共和党が隠したくても、隠せるものでなく、どうやら「明智光秀の三日天下」ではありませんが、「ペイリンの2週間天下」という感じになりそうです。
今日エントリしたかったのは、マケインの経済問題のスポークスウーマンの元HP(ヒューレット・パッカード)のCEOのCarly Fiorina(カーリ・フィオリーナ)の発言です。ビジネスパーソンとして成功した彼女は、マケインの経済が苦手というイメージを補う役割があります。その彼女が、「ぺイリンは、CEOとして、HPのような大企業の経営が出来るか?」というメディアの質問に対して、「出来ない」と答えて、さらにそれに火をつけるかのように、「マケインも、オバマも、バイデンも、誰も大企業のCEOを努めることはできない」と重ねて発言したために、大きな論議を巻き起こしています。
もちろん、フィオリーナのポイントは、スキルセットが大統領とCEOでは違うということを言いたかったのですが、ちょうどHPがEDSを買収することによって、2万4600人を解雇するというニュースが流れていた時で、彼女の発言は物議をかもしています。また、彼女は遊説先で、メディアやオバマ陣営のペイリンに関するコメントは、「女性差別だ」という発言しており、先週の「Saturday Night Live」で、女優のTina Fey がペイリンをパロディとして演じたことも「女性差別」だとクレームをつけて、彼女がCEO時代に盛んに「女性CEOとしての差別を受けた」と言っていることを重ねあわすと、被害者意識を感じます。
フィオリーナ自身へのパブリックの視線は、必ずしも「成功したグローバル企業のCEO」という評価だけではありません。1999年にHPへ移る前は、彼女は、Lucent Technologiesで評価の分かれるCEOでした。さらに240億ドルのCompaq Computer との合併を推進したフィオリーナは、HPの創業者一族の合併反対、さらに「The HP Way」と呼ばれたHPのユニークなカルチャーの礎となった何千人という社員の解雇を招いています。その後、合併の後遺症で中々立ち直れなかったHPは、結果、2005年彼女を解雇してしまいました。その時の彼女の「ゴールデンパラシュート(退職金そのほかのベネフィット)」は、2100万ドルという高額のもので大企業のCEOの特権をつくづく感じます。
フィオリーナの政治的な野心は、十分感じますが、今回の「候補者たちは、誰も大企業のCEOの資格がない」という彼女の本音は、何とも皮肉な発言で、思わず、彼女の顔をまじまじとみてしまいました。

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