Obama(オバマ)のリードが進むに連れて、McCain(マケイン)陣営からは内部の不協和音が聞こえてきます。特に、段々大きな声となっているのが、キャンペーン内部のマケインサポーターとPalin(ペイリン)サポーターの対立です。Politico.comによれば、マケイン内部から匿名で、ペイリンの最近のマケインのアドバイザーを無視した言動*は、単なる悪ふざけではすまないという発言まででいます。
*ペイリンの最近のマケインを無視した言動:
- ミシガンのキャンペーンをあきらめたことへの不満
- マケインが正当化したオバマとテロリストを結びつけるRobo-callという手法への批判
- オバマ攻撃にRev. Jeremiah Wrightの問題を持ち出さないというマケインの公約を無視して、ペイリンはキャンペーンでそれを発言
またCNNによれば、マケインのアドバイザーは「ペイリンはディーバだ。キャンペーンの誰も信じていないし、家族すら信頼していない。ディーバは、自分しか信じられないからだ」という発言も出るほど、ペイリンに関する不満は相当くすぶっています。これは、予備選挙のクリントン陣営の末期の状況に似ており、ディジャヴを感じます。特に、この匿名という部分が肝心で、クリントンの時もそうでしたが、船が沈み始めると必ずこうした声が聞こえてきます。オバマ陣営の凄さは、政治アナリストが指摘したように「どんな状況でも、匿名の情報ソースというのはオバマ陣営にはない。必ず発言者の名前が出てくる」という点です。オバマのキャンペーンポリシーである「ドラマクィーンはつくらない(自分だけが目立とうとしてドラマを作ってしまうような人)」は、22ヶ月たった今でも実行されています。
ペイリンのこうした行動は、マケインキャンペーンの「彼女の取り扱い方」に問題があると思います。彼女は、直感的に一般の人たちとすぐにエンゲージするためのコツを把握できる、優れた政治的資質を備えています。そんな彼女の「Strength(強み)」を活かさずに、彼女の経験不足を心配するマケイン陣営は、メディアから遠ざけて、台本通りに答えるように、彼女に「たが」をはめたために、彼女は萎縮して、多くの失言やミスを繰り返してしまいました。それに気がついたペイリンは、マケイン陣営を無視するかのように、、自らの直感を信じた言動を開始し、さらに2012年(次期大統領選挙)を見据えたかのような野心を示唆し始めています。彼女の最近の「自分は何も失うものはない」という発言は、すでに2008年を飛び超えており、自分の未来の可能性を見せ付けた発言と思われます。
もともと、彼女の本音を露呈していると最初に言われたのは、9/18の以下の発言です。
彼女は、なんと遊説先で、「a Palin and McCain administration(ペイリン&マケイン政権:自分の名前を先に出した)」と発言し、さらに別の場所でも、マケインを「My running mate(通常大統領候補が副大統領候補を呼ぶときに使う表現)」を呼んで、あたかもペイリンキャンペーンを展開するかのごとく振舞っています。確かに当時のペイリンへの熱狂は凄いものがあり、彼女の後に登場したマケインを見ないで帰る支持者も多かったくらいです。「ペイリンアーミー」と呼ばれるファンに常にに囲まれていると、確かに副大統領としてマケインをサポートするというポジションを忘れてしまうのかもしれません。
2人の関係が硬直しているのは、先週のNBCによる2人のインタビューを見ていても十分察しられます。最も信頼すべき2人が、お互いに「居心地の悪そうな表情」で座っており、マケインのペイリンを弁護する発言もポジティブな情熱を感じませんでした。共和党内部では、すでに2008年をあきらめている人たちも存在し、彼らはペイリンのカリスマ性は、「地に落ちた共和党ブランド」を活性化する効果があり、彼女のコンサーバティブさは熱狂的なクリスチャンを元気付ける効果があると見ています。新たな共和党のブランド作りに必死なネオコンは、彼女の2012年の野望に向けて、なにやら動き出しているような気がします。
ただし、ペイリンへの評価は、お膝元のアラスカでも、大きく揺れています。25日アラスカ最大の発行部数の新聞Anchorage Daily News (ADN)は、正式にオバマを大統領として推薦することを発表しました。理由は、この国家的な危機の中で(2つの戦争、金融危機、環境問題の悪化)、マケインが大統領としての最初の判断である、副大統領にペイリンを選んだことをあげています。ペイリンは確かにカリスマ性があり、情熱的で、若く、手強い政治家であるけれども、72歳の大統領の下でその副大統領として、いつでも大統領として交代できるという準備が出来ておらず、今のような時期にそのリスクを取ることははあまりにも危険であると結んでいます。これは、ADNのように長年ペイリンを身近で直接見てきたメディアの発言で、元国務長官のPowell(パウエル)の発言と同等、あるいはそれ以上の重みのあるものです。
ペイリンは、確かにマケインキャンペーンにさまざまな話題を提供して、カラフルにマケインを彩っていますが、「ディーバ」は、「ディーバ」です。誰かの「サブ」でいるのは難しい存在で、またそれを活用するとなると、コストは相当高くつくと思います。

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